映画を観ました

先日映画を観ました。『海洋天堂』という中国・香港の映画です。アクションで有名なジェット・リーがその脚本に涙し、ノーギャラで受けたという話題の文芸作品です。病気で余命わずかと宣告され、誰も頼ることができない自閉症の青年の将来を思う、シングルファザーの苦悩と愛の物語。音楽や映像も美しく、心温まる感動作品でした。

残されてしまう子がひとり生きるにはあまりに不憫な社会。障害児を取り巻く厳しい状況。
涙、涙の2時間でしたが、見終わった後は不思議と悲しい気持ちではなく、温かい気持ちになりました。


障害児に対する諸制度整備の遅れはもちろん、一人っ子政策を採っている中国では、多くの親が自分の亡き後を切実に心配していることでしょう。
日本でもまた然り。ライフスタイルの変化や非婚率上昇、晩婚(産)化も相俟って、いまや出生率は1.39(厚生労働省、2010年合計特殊出生率)、人口構造も歪になってきました。
いつ結婚して、何人子どもを産むか、どのように育てるか、という人生におけるプランは極めて個人的な価値観に基づく自由。「子どもが増えれば家族もにぎやかになって楽しいし、老後も一人残さずにすむ」と思いながらも、実際は塾やら何やらで「育てるのにはお金がかかる」から、“子どもを思い”自分は産まない、または産んでも一人か二人という選択をする。そうすると現役世代が減り、ますます社会全体の不安が増強する悪循環、合成の誤謬を生む。
一人っ子の親でなくとも、この先子どもたちはこの社会で幸せになるのだろうか・・・大きな課題のひとつなのかもしれません。

ジェットリー扮する父は、不憫な社会においても希望を失わず、どのような厳しい状況であっても、ありのままを受け入れることを選び、子どもの可能性を信じることを最期まで全うしました。何か特別なことをしているわけではないのですが、決して諦めず、運命を享受することが、人間における究極の未来への希望となるのだなぁ・・とじわりと考えさせられ、心が温まりました。


「幸福の最も大きな障害は、過大な幸福を期待する事である」
―フォントネル(フランス思想家)

人と人とのつながりの大切さ、全てをありのままを受け入れること、運命を信じることの大切さを考えさせられた、貴重な2時間でした。

ベビーシッティング コーディネーター とみた

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