『子育ては楽しい』Vol.9 「いま」

子育ての「いま」の中でも、最後はちょっと精神的な「いま」のお話です。保育園や幼稚園などのお迎えのときに、いつもはそんなことを言わない子が「抱っこ!」とか「おんぶー!」とか言うことがあります。そんなとき、すんなり「はいはい…」と抱っこやおんぶをしてあげることは現実的になかなかむずかしいかもしれません。たいていの場合は、「何言ってるの!もうお兄ちゃんでしょ。」、「ママはくたびれているんだから…自分で歩いてちょうだい。」、「足があるでしょ」などとついつい言ってしまいがち。

でも実は、そんなことを言う子どもは、ただのわがままではなく、その日、園などで何かがあった…という事が多いもの。友だちとケンカした、先生に叱られた、悲しい出来事があった、頑張り過ぎて疲れてしまった、などなど。帰る時間まで、その子なりにがんばって過ごし、やっと大好きなひと(ママやパパ)に会えて、ちょっとホッとしたい気持ちなのでしょう。決して家まで抱っこやおんぶで帰ろうなんて思っているわけではないことがほとんどで、ちょっとの時間、ギュ~ッと抱き締めてもらったり、おんぶでペタッと背中にくっついたり、要求が満たされれば割とすぐに気が済むものです。


夕食作りの最中に、静かにテレビを見ていた子が、突然、近付いてきて、「抱っこー!」などと言って困らせる時も、よくよく観察してみると、テレビのお話しが、寂しい場面や悲しい場面だったりすることがあります。そんな時、「忙しいからあとで!」と言わず、一度お料理の火を止めて、ほんの少しの時間、抱っこでお話ししてみませんか。安心した子どもは、落ち着いて、近くに座ってニコニコしながらお料理する様子を見ていられるかもしれません。


子どもが、心の安心基地である大好きなひとの『ぬくもり』を必要としている時、ほんの少しの時間と気持ちを用意して、『大丈夫だよ』の抱っこやおんぶに付き合ってあげる。これが子どもにとっては特別な魔法の力となって届きます。そんな不思議なステキな魔法、たくさんかけてみてくださいね。


チャイルドケア アドバイザー さいとうなおこ

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